観劇2008年03月-KABUKI-歌舞伎座 (II)

昼の部、午前11時開演。
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■ 「江戸城の刃傷」

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新歌舞伎の特徴であるが事件そのものよりそれにかかわる人間模様や心理描写が中心に語られる。ここでも江戸城松の間の刃傷そのものはなく、吉良上野介も登場しない。舞台は刃傷に及んだ直後、その様子を見ようとする場面から始まる。
松の廊下の刃傷沙汰で無念にも失敗した浅野内匠頭(梅玉)は申し開きもせず田村家預かりになる。この深い無念さを内にこめた梅玉の演技が見ものだった。この品格ある浅野内匠頭は必見。
城内で評議が開かれ、多門伝八郎(彌十郎)の理路整然とした反対にも拘らず喧嘩両成敗の御政道は通らず、内匠頭切腹、浅野家断絶、赤穂城明け渡しが言い渡される。この伝八郎の迫力ある反対も聞き所。
田村家で切腹の上意が言い渡される。浅野内匠頭が5万3千石大名であるにも拘らず相応しくない家の外での切腹など不当な扱いに怒る多門伝八郎は浅野内匠頭の忠臣、片岡源五右衛門(松江)を庭木の陰に控えさせ最後の別れを果たさせる。伝八郎がそれとなく源五右衛門に気づくように仕向ける場面、それで慌てて文を残す内匠頭はみどころ。最後は辞世の句を読み上げて幕が閉じる。
切腹前に上野介の容態を聞いたとき、致命傷では無かったと聞いてがっかりする内匠頭に対し、伝八郎が年寄りなので傷は浅くとも回復は難しそうなことを言って慰める場面も打たれる。

■ 「最後の大評定」

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内匠頭が切腹した一ヵ月後、赤穂城の明け渡し期日が迫り、お城では家臣が籠城か開城かで揺れ動いている。
家老の大石内蔵助(幸四郎)の玄関先。嫡男松之丞(巳之助)は評定を決めない父を心配している。そこへお城を追われ下野した一徹者の井関徳兵衛(歌六)子息紋左衛門(種太郎)が内蔵助の次男と娘を追いかけて現れる。お家大事と駆けつけた徳兵衛を指差したという因縁をつけて。この場を納めて玄関先でお酒をいただくことに。強情ものの徳兵衛とおどおどしたしかし健気な紋左衛門親子の対比が見もの。
舞台は大石邸内部へ。態度をハッキリさせない内蔵助にやきもきしながらも主人を信じる妻おりく(魁春)の毅然たる態度が光る。日和見の年寄り家臣を送って内蔵助(幸四郎)が現れるが思うところが有っての事とうろたえる事無いように申し付けるところが次の展開を予測させる。
玄関先に戻り、登城する内蔵助に徳兵衛は藩士と共にすることを申し出るが断られる。二人は幼少のころからの知り合いであり、徳兵衛の気持ちをよく知る内蔵助が苦悩して断る場面。

城内。最初の評定に300人いた家臣も55人に減っていた。江戸からの上野介が浅傷ですでにほとんど回復との知らせを受け内蔵助は最後の大評定を開く。その場で内蔵助はその心中を明かさず一同に血判を求める。堀部安兵衛などは当初血判を保留するが内蔵助の心に主人の仇を討つ決心を感じ血判を押す。内蔵助が血判を迫る場面、開城するが各位は浪人となって生きることと言う言葉に仇討ちを汲み取るところが見せ場。
城外に出た内蔵助の前で切腹する徳兵衛に「天下の政道に反抗する」と決意を語り、無言で花道を去っていく。良く知るがゆえにその短気という欠点の後の憂いを絶つため仲間に加わることを拒否する内蔵助も、死を前にした友にはその心を語ったのだ。

幸四郎の内蔵助だが台詞が謡うようで弱々しく感じた。種太郎の紋左衛門は良く演じていたと思う。


■ 「御浜御殿綱豊卿」

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御浜御殿は今の浜離宮であり、綱豊卿は後の将軍家宣。当時は綱吉に将軍職争いで負け遊蕩に耽っていた。
御殿のお庭。兄から手紙を受け取った綱豊(仁左衛門)の寵愛を受けているお喜世の方は、兄富森助右衛門が浜遊びの見物を願い出てると申し出て綱豊に許される。綱豊は富森助右衛門が赤穂藩縁のものであることを知っており、今日の遊びの訪問者が上杉であり同行する吉良上野介の面体を確認するためと見抜いていた。こういうお大人の遊びの場面の仁左衛門はその色気のある目など秀逸である。
御殿の間。綱豊は学問の師、新井白石(勘解由)を呼ぶ。勘解由(富十郎)に浅野家再興について問う。しかし、武士道と言う観点から忠義を全うする仇討ちをさせたいと本心を語り勘解由から「しかり」との返事を貰い決意する。この富十郎は声に張りが無く台詞もこなれておらずどうしたのだろう。
綱豊は富森助右衛門(染五郎)を呼ぶ。下の席にこだわる富森助右衛門と綱豊の緊迫した丁々発止のやり取りが昼の部の最大の見所。その中で綱豊が内蔵助の京都での放蕩は世間の目を欺くためであると指摘したのに対し、助右衛門が殿様の放蕩も現将軍綱吉の嫉妬を買わないための偽装であると言い切って綱豊が刀を持って立ち上がる緊迫した場面が最高潮である。最後に綱豊が浅野家お家復興の請願は仇討ちの根拠をなくすと指摘して会見は終わる。この場面は仁左衛門の魅力たっぷりでファンならずとも満足いく演技であった。若い染五郎も声に不満があったものの感情の起伏の表現が好感持て頑張っていた。
最後の場面で上野介と確信した富森助右衛門が面をつけた踊り手を斬り付けるが、実は綱豊であった。綱豊は軽率な行動を叱り諭し舞台へと向かう。大義を持った仇討ちでなければならないのだ。
この編では、世間の目を欺く綱豊と内蔵助の二人を対比させ、新井白石を登場させ、富森助右衛門とのやり取りで赤穂浪士の状況を語り、仇討ちを武士道の名の下で正当化していく道筋が語られる。

ここまで昼の部。
如何にも殿様の梅玉の浅野内匠頭、不公平に怒り滔々と御政道を語る彌十郎の多門伝八郎、緊迫した仁左衛門の綱豊と染五郎の富森助右衛門が見所であった。

「江戸城の刃傷」の幕が降りて30分の休憩。通路で売っていた弁当をいただく。850円。暖かいお茶100円。
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昼の部が終わり一回外へ。15分もすると夜の部が開場だ。開場を待つ人だかりの中に身をおいてみる。役者の話が耳を通り過ぎていく。ボーとしている間に開場となった。


以下夜の部へ続く

[観劇・コンサート]
by AT_fushigi | 2009-03-22 14:38 | 観劇・コンサート | Trackback | Comments(0)
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