歌舞伎を見てきました。歌舞伎は観劇料が1万円を超えるので年間3,4回行くことができれば良い方です。夜の部で夕方4時30分開演です。4時頃開場に合わせて着きました。入り口は到着の人やタクシーでごった返しています。
初春花形歌舞伎 成田山開基一〇七〇年記念 通し狂言「雷神不動北山櫻」 上演場所:新橋演舞場 上演期間:2008年1月2日(水)~27日(日) 観劇料:一等席14,700円 歌舞伎人「 初春花形歌舞伎 」から紹介(みどころ)と写真(ダブルクリックで拡大)を "この『雷神不動北山櫻』は、今から約二七〇年前の寛保二年(一七四二)正月に大坂の佐渡嶋長五郎座で初演され、同年七月まで打ち続けるという記録的な大当たりをとった作品です。皆様ご存じの歌舞伎十八番『毛抜』『鳴神』『不動』の三作品は、全てこの『雷神不動北山櫻』の一幕として上演されたもので、二代目市川團十郎が粂寺弾正、鳴神上人、不動明王の三役を勤めて好評を博しました。" 演目は「なるかみふどうきたやまざくら」と読みます。「通し狂言」とは全場面を演ずることです。これに対しいくつかの有名な場面で構成した場合は「みどり狂言」といいます。よくフルコースとアラカルトで比喩されます。市川家のお家芸を示す「歌舞伎十八番」に「雷神不動北山櫻」の場面から「毛抜」「鳴神」「不動」が入っていてよく「みどり狂言」で上演されます。海老蔵の「毛抜」は2007年1月に観ていたので楽しみです。また、この3場面は後半なので後半の盛り上がりが期待されます。 人気の市川海老蔵が上記三役に早雲王子、安倍清行を加え五役演じるとあって話題となっています。つまりどの場面でも海老蔵が出てくるわけです。お父さんの團十郎が歌舞伎座で「助六」を演じるので親子でのライバル意識でも話題でした。 会場は大入りです。海老蔵、勘三郎に加え、亀次郎、春猿と若い人にも人気の役者が出てきていて、歌舞伎も若い人への広がりを見せています。このためか華やかな雰囲気です。 さあ、開演です。まず、海老蔵が口上を述べます。 新年の挨拶の後、ストーリーの概要を説明します。「いささか込み入った」話なのでと前置きし、「裁き裁かれ」と演ずる五役を語りました。以下に「筋書」(パンフレット)を参考にストーリーを書いてみました。興味が湧いて頂けたらと思います。 背景 平安時代の初めの頃、陽成(ようぜい)天皇の時代。陽成天皇は誕生前に陰陽師、安倍清行により女子と予告された。そこで朝廷は鳴神上人に変成男子(へんじょうなんし)の行法を行わせ、天皇は男子で誕生した。これをもって鳴神上人は戒壇を建立することが許され、鳴神上人は洛中に不動堂を建立した。陽成天皇には異母兄の早雲王子がいたが、安倍清行の「早雲王子が即位すれば乱世を招く」という占いにより、陽成天皇が帝位についた。早雲王子は陽成天皇、安倍清行と鳴神上人に恨みを持っていて当然だが、これを押し隠し民のために尽くすことで人気を得ていた。 (Note 1) 戒壇:(仏教用語)戒律を授ける(授戒)ための場所 発端 洛中不動堂の場 舞台の真ん中に不動堂。黒雲坊(市蔵)と白雲坊(右之助)が居る。そこへ、早雲王子の執事、山上官蔵(猿弥)が共の者6人を引き連れ、鳴神上人の不動堂に勅使として訪れる(花道から登場)。官蔵が不動堂に入ろうとするので黒雲坊と白雲坊ともみ合う。 そこで、官蔵は、戒壇建立が取り消しに成った事、変成男子を行ったものは死罪であるのを一命を助けるが洛中から追放する事の勅命を告げる。明らかに早雲王子の陰謀である。 余りの朝廷の変節に怒る黒雲坊と白雲坊に、不動堂から鳴神上人(海老蔵)が現れ、清く勅命を受け入れると慰める。そこで、官蔵は不動堂を破壊し始める。朝廷に恨みを露にした鳴神上人がこれを悔しそうに見ている[ところで中央舞台回転] 序幕 第一場 大内の場 [舞台が回転し] 関白基経(門之助)、小野春道(友右衛門)、文屋豊秀(段治郎)が部屋で最近の旱魃に関して話している。そこへ6人の百姓が雨乞いのお願いに来る。これに対し、百姓も祈るよう言って追い払おうとする。このことに百姓は朝廷も手立てが無いのかと嘆く。 そこへ、手に鎌と笠を持ち蓑を着けた早雲王子(海老蔵)が来て、百姓に旱魃の解消を約束し百姓を喜ばせる。また、基経が鳴神上人に雨乞いの祈祷を命じたと言うと、鳴神上人が旱魃の原因なので洛中から追放したと告げる。これには、豊秀が勝手すぎると嗜めるが、王子は天下国家のためであると取り合わない。王子の人気取りと傍若無人振りが示される。 小野春道が昔成功した家宝である小野小町直筆の短冊「ことわりや」をもって雨乞いすることを、文屋豊秀が安倍清行を呼びつけ旱魃の原因を占わせることを提案する。関白基経は頷くが、王子は民の心を知らない政と非難する。 そこへ、旱魃で多くの民が死んだとの声が聞こえ、王子は百姓を労わる為、[花道を] 去っていく。 第二場 小原村松原の場 都の外れの小原村(おばらむら)に安倍清行の従者、紀定義(欣弥)が主人を探しにやってくる。主人が百歳を超えるにもかかわらず容貌は壮年期のままであり、女性に目が無いのが欠点であることが語られる。そこへ、[花道から]安倍清行(海老蔵)がやってくる。そこへ女性通りかかったので清行は定義を去らせる。 安倍清行が女性に近づきその笠を取ろうとすると現れたのは山上官蔵(猿弥)であった。官蔵は清行を押さえつけ、この度の旱魃が、帝位を狙う早雲王子の策略で、鳴神上人に朝廷に恨みを持つように企んだ為であると語る。 ここへ、石原瀬平(橘三郎)が小野家の腰元小磯を追ってくる。小磯は小野春道の嫡男、春風の子を身ごもり宿下がりしていた。小磯は春風から「ことわりや」の短冊を預かっており、瀬平はこれを奪いに来たのであった。 安倍清行は深い穴に落ち、小磯も最後に現れた早雲王子により止めを刺され短冊が奪われる。こうして[第一場にあった]春道と豊秀の提案をつぶし、その正体を現した早雲王子(海老蔵)は不気味に笑みを浮かべ去っていく。 [休憩15分] ここまでは、次の場面で展開される話の下地作りです。面白みや見得などの見せ場も少なく、拍手も疎らです。このためか海老蔵も抑え気味で、ここで次の場面への期待作りという意味ではうまく行ったとはいえないと思いました。居るだけで見せるという存在感が不足しています。若さが出ているということでしょうか。 [To be continued]
by AT_fushigi
| 2008-01-13 16:39
| 観劇・コンサート
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by AT_fushigi
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