「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館


遅くなりましたが、5月の連休に家族で行った「阿修羅展」の報告です。6月7日までなので...

連休中の5月6日は朝から重い雲に覆われ、まもなく雨が降ってきました。お昼に2日前に長女が「阿修羅展」へいったときの話になり、非常に混んでいて入場に30分待たされたとか言っていました。
7日から働く人もいるだろうし、雨なので空いているだろうと出かけることにしました。チケット売り場が混んでいるといっていたのでWEBチケットを購入しました。
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■ 概要

興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」
-- 会場: 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
-- 会期: 2009年3月31日(火)~6月7日(日)
    9:30~18:00 20:00 (入館は閉館の30分前まで)
    (ただし、会期中の金・土・日曜・祝・休日は20:00まで開館)
    ※5月29日(金)~6月7日(日)は、連日20:00まで開館時間を延長(月曜休館)
-- 休館日:月曜日(ただし5月4日(月・祝)は開館)
    ※5月7日(木)は18:00まで開館、入館は閉館の30分前まで
-- 料金 一般1500円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料
-- 展覧会カタログ:2500円、音声ガイド(日本語のみ):500円
-- 巡回予定: 九州国立博物館 2009年7月14日(火)~9月27日(日)
-- 公式WEB
  東京国立博物館
-- [概要] 公式WEBより
    奈良・興福寺の中金堂再建事業の一環として計画されたこの展覧会
    では、天平伽藍(てんぴょうがらん)の復興を目指す興福寺の貴重な
    文化財の中から、阿修羅像(あしゅらぞう)をはじめとする八部衆像
    (国宝)、十大弟子像(国宝)、中金堂基壇から発見された1400点をこ
    える鎮壇具(国宝)や、再建される中金堂に安置される薬王・薬上菩
    薩立像(重要文化財)、四天王立像(重要文化財)など、約70件を展示
    いたします。特に、八部衆像(8体)と十大弟子像(現存6体)の全14体
    が揃って寺外で公開されるのは、史上初めてのことです。
    阿修羅像は天平6年(734)、光明皇后(こうみょうこうごう)が母橘三千
    代(たちばなのみちよ))の1周忌供養の菩提を弔うために造像して以来、
    戦乱や大火など幾つもの災難を乗り越えてきました。1300年の時を超
    えて大切に守り伝えられた、日本の文化といにしえの人々の心に触れ
    る機会となれば幸いです。(引用終わり)
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■ 展覧会場

午後3時頃到着。雨が降っていて、上野の改札口も特に混んではいなかった。
東京国立博物館のチケット売り場も特に混んでおらず拍子抜け。WEBチケットを見せて入門。
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平成館入り口の傘立ても余裕。待たずに入館。中の会場入り口でWEBチケットをチケットに交換。
2Fにエスカレータで上がると左右に会場がある。中の人は今までの人気の日光・月光などと変わらない。
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■ 図録

2,500円。各像が正面全体から正面頭部、斜め頭部など4-5枚の写真が掲載された優れもの。
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■ 展示物

章は展覧会の章立て。" ”は引用で特に記載ない場合は図録から引用。

第1章 興福寺創建と中金堂鎮壇具

明治7年(1874)に最初に中金堂基壇中から出土した鎮壇具の一部。金・銀・真珠・水晶・琥珀・瑠璃・瑪瑙などの加工品だが玉(球形)が多いのはわかるが、円柱や正六角柱形のものもある。小指ほどの六角柱の水晶に円形の穴をあけた蓋付の入れ物にはびっくりした。

興味を引いたのは銀のお椀。中国製の唐草模様と模倣したと思われる日本製の唐花模様。明らかに当時は中国のほうが洗練されている。
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第2章 国宝 阿修羅とその世界

公式WEBの解説によれば”光明皇后は、母の橘三千代が天平5年(733)に亡くなると、一周忌の供養のため興福寺に西金堂を建立し、釈迦如来、釈迦の十大弟子、四天王、八部衆像などの28体の像、また菩提樹や金鼓(こんく)などの荘厳具を安置しました。この章では、そのうち現在まで伝わる、十大弟子と八部衆、金鼓(華原馨(かげんけい))を展示します。
八部衆の少年のような清々しさ、十大弟子の醸す静寂さは、天平彫刻の特徴である写実表現の中でも最も優れた作品群です。”

「国宝 華原磬」と「波羅門立像」を見て仏像が並んでいる部屋に入る。右手に十大弟子像、左手に八部衆だ。

(1) 十大弟子像

お釈迦様の優秀な10人の高弟の像。10人は経典によって異なるが、興福寺の場合は ”『維摩詰所説経』(ゆいまきつしょせつきょう)「弟子品」(でしぼん)に説かれる大伽葉(だいかしょう)、阿那律(あなりつ)、富楼那(ふるな)、迦旃延(かせんえん)、優婆利(うばり)、羅ご羅(らごら)、舎利弗(しゃりほつ)、目けん連(もくけんれん)、阿難陀(あなんだ)、須菩提(すぼだい)” とのこと。
10体ではなく6体現存しているようだ。須菩提、羅ご羅、舎利弗、、目けん、迦旃延、富楼那であるが、羅ご羅は4/19までで見ることはかなわなかった。いずれも立像で袈裟を着て手の形などが異なる。写真は公式WEBサイトより。
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異なる顔の表情やお年を口元、目などで表現。図録からお顔の表情を。
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(2) 八部衆(阿修羅以外の像を展示)

” インドで古くから信じられてきた異教の八つの神を集めて、仏教を保護し、仏に捧げ物をする役目を与えて、八部衆とします。仏教の教えに基づいた神ではないので、その生い立ちや性格、また姿やかたちは様々に説かれ、複雑で不明な部分が多くあります。”
八部衆は興福寺の場合は" 「五部浄(ごぶじょう)、沙羯羅(さから)、鳩槃荼(くばんだ)、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅(あしゅら)、 迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、畢婆迦羅(ひばから)」”。
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ここでは阿修羅以外の像が展示されている。阿修羅以外は武具をまとっているのも面白い。なんといってもお顔が良い。仏教を保護する異教の神なのだが、親衛隊という感じ。写真は図録からのお顔。
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(3) 阿修羅像

東京国立博物館でよく見られる坂を上って上から目玉の展示物を見せる方法がとられている。赤い布の上を上るときどきどきする。上ると阿修羅像が見える。お顔を正面から見ることが出来る。ここでじっくりお顔を見つめる。他の八部衆と同じように少年のお顔で、目は仏像に良くある切れ長ではなく、人間に近い。リアルだ。表情は憂いを帯び、吸い込まれそうだ。色も予想に反して赤銅色だ。

さらに左右にお顔があり、手も左右3本づつ計6本。手が華奢で少年のものだ。隣で「手を上から下に下げて手を合わせるという動的な動きを表している」と解説が。また、オペラグラスで見ていた男性が「手は合わさっていないよ、少し開いている」とも。いずれにしろ熱心に見ている人が多い。

進むと下に降りる通路となり、阿修羅像に近づける。まずは先ほど上から見たときの台の下に行き正面からじっくり眺める。遠巻きに一周して、正面で像に近づく。手の届きそうなところに像がある。その衣服の模様を確認しゆっくり回る(像の周りは2-3重に人が囲んでいて一定の速度で回る)。
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興福寺WEB解説。” 梵語(ぼんご)(古代インド語)のアスラ(Asura)の音写で「生命(asu)を与える(ra)者」とされ、また「非(a)天(sura)」にも解釈され、まったく性格の異なる神になります。ペルシャなどでは大地にめぐみを与える太陽神として信仰されてきましたが、インドでは熱さを招き大地を干上がらせる太陽神として、常にインドラ(帝釈天)と戦う悪の戦闘神になります。仏教に取り入れられてからは、釈迦を守護する神と説かれるようになります。
 像は三面六臂(さんめんろっぴ)、上半身裸で条帛(じょうはく)と天衣(てんね)をかけ、胸飾りと臂釧(ひせん)や腕釧(わんせん)をつけ、裳(も)をまとい、板金剛(いたこんごう)をはいています。”

第3章 中金堂再建と仏像

阿修羅などを見た後ではちょっと興味が薄れてしまった。四天王立像だけ紹介する。この像が面白いのは鬼を踏みつけていることと作者。作者は康慶で、「慶派」と呼ばれる仏師系譜の基礎を築いた人で、運慶の父である。
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■ 感想等

雨の日となったため、あまり混雑なくじっくり見ることが出来た。何度も回れるので阿修羅像のあるサイドは3回は回った。ニュースで60万人を越していると聞くと驚く。仏像にこんなに関心が集まったのは、阿修羅像自身の魅力と最近の歴史・仏像ブームによるのだろう。
いずれにしろ、日本の文化を尊敬し学ぶことはいいことだと思う。残念なのは青年・壮年の男性が少ないことか。


[美術鑑賞2009]
by AT_fushigi | 2009-05-30 23:16 | 美術鑑賞・博物館 | Comments(4)
Commented at 2009-06-01 15:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by shinn-lily at 2009-06-01 18:21
理屈抜きに、お顔を拝見、伝わってきますね。
実にさまざまな表情は人生のあらゆる場面を表しているのでしょうか?
伝わってきますね。

奈良の興福寺は行った記憶はあるのですが、若いときの感受性はなかなか仏像にはむかず、今になるとじっくり向かいあいたい心境です。
それにしてもいい男、こんな深みのある男性、あってみたいな!
Commented by AT_fushigi at 2009-06-03 18:25
鍵コメさま
先週後半から忙しくしており何日かに分割してやっとアップしました。返事が遅れて申し訳ありませんでした。
これらの仏像は平氏の南都焼討などの災いにもかかわらず残っていた貴重なものです。
いいお顔です。光明皇后が母の供養に作らせた仏像なので女性的なやさしいお顔なのかもしれません。
そうそう、阿修羅展は東京で新型インフルエンザ患者が出て空いていたとのことですが、インフルエンザの騒ぎも収まって再び大混雑のようです。5月の30日に行った方は50分待ちとか。もう入場者70万人は超えたのではないでしょうか。
Commented by AT_fushigi at 2009-06-03 18:31
shinn-lilyさま
阿修羅像、いい男ですよね。少し影があって、憂いがあって。不謹慎でしょうか。
曼荼羅などに載っている赤鬼のような阿修羅とはまったく異なる表情です。今日サライの特集を手にする機会があり、阿修羅の由来を知りました。仏教によって悪から善になった異教の神。そのあたりにこの憂いがあるのかもしれません。
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