家族旅行2013年08月-北米-グランドサークルー番外-グランドキャニオン・ウラン採掘



今回のグランドキャニオンのサウスリム西側散策でここで20-30年前までウランが盛んに採掘され、公園周辺では今でも数か所残っていることを知りました。
サウスリムの鉱山は廃坑になっていると言うことですがそこから放射物質が出たりしているそうです。
観光客の遊歩道では場所によっては自然界の10倍以上のマイクロシーベルト/時オーダーの放射線が観測される場所もあるという情報もあります。。
短時間なので影響は少ないと言うことかもしれませんが怖いと思いました。
グランドキャニオンの旧鉱区の地図が欲しいと思いました。少なくともサウスリム西側の遊歩道のマリコパ・ポイント近辺にはその鉱山後が残っているので避けた方が良いでしょう。レッドルートの無料シャトルバスでパウエル・ポイントかホッピ・ポイントにさっと移動しましょう。他の情報は持っていません。

ところでグランドキャニオンのウラン採掘の問題は今の問題でもあるのです。私は知りませんでしたが下記の様な経緯があり最近の問題です。

2008年6月25日 ロイターHPより
米下院委員会が25日[2008.06.25]、アリゾナ州の観光地グランドキャニオン付近のウラン採掘を3年間停止する決定を20対2の多数決で下した。
グランドキャニオン国立公園から半径5マイル(約8キロ)以内でのウラン採掘要求が最近急増したことを受け、今回の緊急措置が取られた。
採掘停止に尽力した非営利団体(NPO)の公有地アナリスト、ダスティ・ホーウィット氏は「今回の緊急措置はウラン採掘がグランドキャニオンに被害を与えたり何百万もの人々の飲み水を汚染したりすることを防ぐだろう」としている。

2011年04月18日 ロイターHPより
米国を拠点とする環境保護団体「ピュー環境グループ」は15日、米国の西部開拓時代に設けられた法律により、公有地での鉱物の採掘権請求がまん延しているため、グランドキャニオン国立公園を含む自然の宝庫が脅かされていると発表した。
同グループのリポートによると、1872年にグラント大統領(当時)の署名によって成立した採掘法は、外国企業を含む鉱山会社がロイヤリティー(権利使用料)を支払うことなく、公有地から金やその他の金属を採掘することを認める法律だ。これら鉱山会社は、現在でも年間約10億ドル相当の鉱物資源を採掘しているという。[略]
 議会は採掘法の改正を目指したが、その取り組みは09年に行き詰まった。その結果、サラザール内務長官は、ウラン採掘の危機に直面しているグランドキャニオン周辺の約100万エーカーの土地保護のため、手続き開始を余儀なくされた。オバマ政権はこの保護計画をめぐる4つの選択肢について意見を求めており、今夏、判断が下される見通しだ。

2011年6月20日 ロイターHPより
米オバマ政権は20日、アリゾナ州北部の峡谷、グランドキャニオンの周辺100万エーカー(40万ヘクタール)の国有地での新規ウラン採掘禁止措置を6カ月延長することを決めた。同政権は長期的な禁止を目指している。
この日記者会見したサラザール内務長官は、グランドキャニオン近くでのウラン採掘は水の質や観光事業に打撃を与える恐れがあるため延長を決めたと述べた。[略]
内務省は、全域で新規の採掘を20年間禁止するのが好ましいとしている。法律では内務省が禁止できるのは20年だけで、永久禁止措置は議会に諮らなければならない。

2012年1月9日 Router
The Obama administration banned new uranium mining claims around the Grand Canyon for the next 20 years, a move hailed by conservationists on Monday as key to the president's environmental legacy but slammed by opponents as a job-killer.
The decision puts more than 1 million acres of public lands outside the Grand Canyon National Park off limits to all hard-rock mining for two decades, the longest moratorium allowed by law. Existing mining operations would continue.
「オバマ大統領下の内務省はグランドキャニオンの100万エーカーでのウラン採掘を20年の禁止する命令を出した。20年が法律改正を伴わないで禁止できる最長だった」

禁止地区(米国内務省EPAのHPより)
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そして反対派の起こした裁判も棄却されます。

ところが、、、、旧坑を再開する許可に関して裁判が起こっています。それは、オバマ大統領の禁止が新しい鉱山の禁止だからです。この行方を関係者は息を飲んでみているのです。

Grand View Trailの採掘場を調べていたら"Arizona Geological Survey, OFR 11-04, Breccia-PiPe UraniUm mining in the grand canyon region and imPlications for UraniUm levels in colorado river Water"というのがあってグランドキャニオンの採掘場のパイプの位置を記したマップが載っていました。(クリックで拡大可)
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グランドキャニオン・サウスリムを拡大すると3か所あります。
マリコパ・ポイント付近、グランドビュー・ポイント付近とヴィレッジの付近の断崖です。
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グランドユー・トレイルに関しては国立公園(nps)からレポート"The Legacy of the Grand View mine"が出ていてトレイルの近辺に採掘カスが積まれていることが懸念されています。地図にあるトレイルの変更があったのかどうかは確認できていません。懸念があったことだけは知っておいてトレイルにお入りください。
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実はインディアン居住地区は良質のウラン鉱石が出る為先住民を使っての採掘が行われました。広島・長崎の原子爆弾のウランもこの地区から採掘されたものです。グランドキャニオンの東に広がるアリゾナ、ユタ、ニューメキシコ州にまたがる広大な土地で主にナバジョ先住民地区です。モニュメントバレーなども含まれています。
それは飲料水の汚染や大気汚染を引き起こし、住民の健康を害することになりました。冷戦が終わりウランの重要度が減ると鉱区は次々廃止されます。2008年から米国政府は5年間かけての除染を実施します。報告を見ると自然界の10倍以上あったレベルが大きく改善されています。
その対象はSedonaからPageへ北上する89号線の西でグランドキャニオンの東側のキャメロン地区、モニュメントバレー北側、161号線のアリゾナ北側、ニューメキシコのエルモロ国立公園の北(IS-40の北)に鉱山が多いことが分かります。改善されたとはいえ塵芥が散っているのでこの付近をドライブする時は窓を閉めておいた方が良いでしょう。
除染対象鉱区(米国内務省EPAのHPより)(クリックで拡大可能)
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グランドキャニオンの採掘は観光事業に大きく影響します。また、コロラド川はフーバーダムが閉じ込めたミード湖に注ぎ込み800万人の飲み水となって供給されるのです。
福島の問題を抱える日本での報道はどうなっているのでしょう。ロイター日本版からはオバマの20年禁止は探すことはできませんでした。



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by AT_fushigi | 2013-09-15 16:52 | 出張・旅行 | Comments(0)
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