歌舞伎「雷神不動北山櫻」-海老蔵!(III/E)

お弁当を食べ終わり、ゴミを捨てトイレに行くとそろそろ三幕目の開演のお知らせが放送されます。三幕が「歌舞伎十八番」の「鳴神」、大詰(最終幕)が「不動」であり、見せ場です。

三幕目

第一場 木の島明神境内の場

太秦にある木の島明神。巫女たち(8人)が踊って去る。そこへ、安倍清行の従者の紀定義(欣弥)が行方知れずの(実は早雲王子の執事・山上官蔵に深い穴に落とされた)主人が見つかるよう祈念に訪れる。明神様の池が干上がっているのを見て旱魃の世を嘆く。そこへ公家の文屋豊秀(段治郎)が雨乞いのため(取り戻した)「ことわりやの」短冊を持って現れる。二人はまずは安倍清行を探すことにした。
ここで二人は、清行を探すため客席(1階通路)を一周する。[私は通路に面した席だったのですぐ横を二人が通りました。その声の張りとか至近で聞くと素晴らしいと思いました。]
この時、明神様の巫女に誘われ安倍清行(海老蔵)が地中から現れる。定義と豊秀が清行を見つけ近寄る。[この時、舞台の前面で3人が出会い海老蔵も少し通路を歩くのかと期待しましたが...ちょっと舞台の裾だけでした。]
清行は気合とともに二人を眠らせる。そして、豊秀にだけこの旱魃が早雲王子の悪巧みであることを念力で伝える。早雲王子は鳴神上人を騙し朝廷に怨みを持たせ、上人が北山の大滝に竜神を封じ込めたので旱魃が起こった、この行法を破るには雲の絶間姫が良いと伝えると巫女たちを追いかけていく。
正気に戻った豊秀は清行の言葉を伝えに大内へ急ぐ。

第二場 北山岩場の場

北山の大滝。前面にしめ縄が張られ、傍らに鳴神上人の小屋があり、白雲坊(右之助)と黒雲坊(市蔵)が控えている。
そこへ美女がやってきたので二人は訝るが、上人が現れ話を聞く。美女は雲の絶間姫(芝雀)と名乗り、亡き夫の形見の衣を洗うため来たと言う。さらに、尋ねると、夫との馴れ初めから、初めて契りを交わした日のことを語る。この話に、世俗を離れていた純情な上人は気絶してしまう。姫は承認に口移しで滝の水を飲ませ介抱する。
気を取り戻した上人は姫を疑い、行方破りに来たのではと問い質す。姫はそのような疑いを受けるのは心外と滝に身を投げようとする。これにより疑いが晴れたので、上人は姫を弟子とすると言う。白雲・黒雲に剃髪の道具を取ってくるように命ずる。
二人が去ると、姫は急に癪を起こして苦しみだす。上人は言われるまま懐の中へ手を入れ介抱しようとする。その拍子に姫の乳房に触れ、その色気に迷って堕落してしまう。[ここの二人のやり取りは海老蔵では色気が足りない感じがしました]
上人は姫に還俗するので夫婦になろうと迫る。姫は夫婦の杯を交わそうと、お酒が飲めないという上人に無理やりお酒を飲ませる。したたかに酔った上人は、大滝に張ってあるしめ縄を切れば行法が破れるとの秘密を明かし寝入ってしまう。
この隙を見て、姫は岩を駆け上りしめ縄を切る。すると、滝壺に封じ込まれていた竜神が滝を登り空へ飛び去っていった。すると、雷が鳴り大雨が振り出した。姫は転げるように山を降りていく。
白雲・黒雲が戻ってきて、上人を起こすと、上人は憤怒の形相となり怒りを顕にする。[ここが一番の見せ場で、柔和な鳴神上人から怒りの表情や雷の文様の衣装に早変わりし、雷神に変身します。そして、怒りを表す演技を始めます。ここでの睨みなどが海老蔵の持ち味で期待した通りでした]

大詰

第一場 大内堀外の場

閉まった幕の前で百姓と巫女が言い争っている。巫女がこれは明神様への雨乞いが功を奏したといえば、百姓は早雲王子のお陰だとはやし立てる。そして百姓たちは早雲王子に帝になってもらおうといいながら去る。
恵みの雨に喜ぶ関白基経(門之助)の元へ文屋豊秀(段治郎)が駆けつけ、早雲王子の悪巧みと雲の絶間姫の行方破りを申し上げ、訴状を差し上げる。
基経が大内に向かうとそこへ山上官蔵(猿弥)が現れ、この雨は早雲王子が鳴神上人を討ち果たしたからだ、王子を新たな帝にするべきだと語る。しかし、豊秀は訴状を見せて降参するように諭す。官蔵が抗うのでこれを切り捨てる。

第二場 朱雀門王子最期の場

全ての悪事が明らかとなった王子(海老蔵)は朱雀門に立て篭もる。迫り来る追っ手を太刀で振り払う。[ここの立回りも見せ場。見得に場内大拍手。]
と、その時不動明王の声が響き渡り、悪の根元の王子は、退散させられる。

第三場

やがて、空中に(虚空に)不動明王(海老蔵)が現れ、天地の混乱と自然の摂理を収束させたと語り、飛び去っていく。[如何に空中浮上しているかを見せるのも時代ごとに工夫されてきたとのことですが、今回のは紐も棒も見えず空中に浮いた不動明王でした。種明かしは..想像なのでしないことにしましょう。]



3時間45分(休憩50分含む)の長い舞台が終わりました。

やはりお父さんの團十郎と比べてしまうのですが、良きにしろ悪しきにしろ、若いというのが第一印象です。いわゆる荒事、動きが大きく激しいところではいいところが出ますが、心理的な所や色気ではお父さんには敵わないです。この年とともに蓄積していくものはこれからの楽しみです。(なんか年寄りくさくなりました。その差が素人の領域の私でもわかったということです。)

今年も歌舞伎は面白い舞台が目白押しです。経済の許す限り行ってみようと思います。

PS:歌舞伎のチケットの買い方など2、3問い合わせがありましたので次回あるいは近々に「素人の歌舞伎のガイド」見たいなのをアップしようと思っています。
by AT_fushigi | 2008-01-19 13:01 | 観劇・コンサート | Comments(0)
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