「佐伯祐三」


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没後80年「佐伯祐三」

  そごう美術館
  2008年5月10日(金)~6月22日(月)
  10:00~20:00、(無休)
  当日 大人1,000(800)円、大学・高校生700(500)円、中学生以下無料
  概要
    フランスに2度渡り、パリで30年という短い生涯を閉じた佐伯祐三(1898-1928)。
    2008年は、佐伯の生誕110年と同時に、没後80年という節目の年。
    日本最大の佐伯のコレクションとして知られる大阪市立近代美術館建設準備室の
    所蔵品に加え、80点あまりの作品で、短くそして激しい創作活動の軌跡をたどる。

本展示会は、一回頓挫し、また、計画再開した大阪市立近代美術館(仮称)の大規模な佐伯祐三のコレクションを中心に佐伯の生涯を辿る展示である。

佐伯 祐三(1898年 - 1928年)は2、300点の作品はほとんどが亡くなる数年間、1924年から亡くなる1928年の5年間に製作された。この信じられないエネルギーと暗い絵のギャップに驚く。死への覚悟がこれを可能にしたといわれている。
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1章 佐伯芸術への始動
展示に沿ってみていくと、ルノアール、セザンヌの影響を受け突然風景で佐伯のスタイルの最初の作品「風景」に出会う。前年ヴラマンクに罵倒された佐伯が、1925年から彼のスタイルを確立していくのが良くわかる。
1925年には展示で最初に現れた「風景」以外にも「パリ15区街」「リュ・ペルネティ」「自転車小屋」「絵の具屋」「洗濯屋」「オ・カーブ・ブルー」「カミオン」「坂のある道」「壁」などがあった。
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この時期の佐伯の作品では壁が重要である。白や薄いベージュの壁がくすんだ色が重ねられ現実感を引き出している。パリの街はこのような家ばかりではない。しかし、こういう壁を好んで描いたとしか思われない。その最たるものがずばりそのもの「壁」である。
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2章 日本への「留学」
一年のパリ滞在後、健康を心配した家族の勧めで一旦帰国する。「日本留学」と称して。「滞舟」の連作が目立つが、日本の風景は芸術表現の対象として意に沿わなかったようである。
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3章 再びパリへ
パリへ戻ってからは壁の広告からほかの媒体の広告やレストランへ範囲を広げていく。「街角の広告」「広告(アン・ジュノ)」「カフェのテラス」「新聞屋」「パリ裏町」「広告(ヴェルダン)」「ピコン」などが展示されている。
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死の年になると廃工場の絵が加わるが、壁の白さが変ってきたように思える。白い部分が増えてきている。モラン滞在時の絵は白が目立つ。
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最期の作品のひとつである「郵便配達夫」は外に出れなくなった佐伯が家に来た配達員に頼んでモデルになってもらったものだ。もう外出が不可能になった佐伯の執念を見ることができる。
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パリの街は観光で行くと佐伯の絵のような風景は印象に残らない。しかし、街中をあてども無く歩くとこのような風景画当たり前に見えてくる。これが私が佐伯の作品が好きな理由で、これら作品を見ると無性にパリに行きたくなる。藤田もそうだが、パリの風景の作品を見てると日本人の視点を感じてしまう。類似の作人を知らない。
また、空もヨーロッパの空である。冬の暗いどんよりした空を知ると、佐伯の空はまさにパリの空になる。夏の明るい空はシャンゼリゼに似合うが、下町などの暗い壁には冬の空が似合う。




大阪市立近代美術館について

大阪市には大阪市立美術館があり東洋美術の収集で有名である。大阪市は佐伯祐三の作品を一括して寄贈されたことで近代美術館を計画した。市制100年を記念して大阪市立近代美術館建設計画が発表され、以後コレクションの形成が進んできた。
大阪市立近代美術館は、中之島に建設される予定だった。が、予定地から蔵屋敷跡が発掘された事に加え、市が財政難に陥り、2004年からは「大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室」で所蔵品の展示を行ってきた。
2007年、当初の事業計画を見直した上で、建設に向けて事業が再開される事となった。


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by AT_fushigi | 2008-06-04 14:08 | 美術鑑賞・博物館 | Comments(0)
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